日本の安全保障について

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この記事は、外交・安全保障に関するものです。
長文です。
興味ない方は、スルーして下さいね。


                        
米中で貿易戦争が進行し、またぞろ北朝鮮が短距離ミサイルを発射する等々、世界の情勢は、常に動いている。その時々の自分なりの意見を持っておくことも必要だろうと、以下の通り、簡単に頭の整理をしてみることにする。
1.非武装中立は現実的でない。

世界で非武装中立を安定的に維持している国はない。
平和とか中立とかいう場合に、スイスを思い浮かべがちだが、スイスは完全な「武装中立国」で徴兵制を採用している。国民皆兵という精神基盤が強固で、万全な食糧備蓄を行い、いわばハリネズミ型の防衛体制を敷いているのだ。

世界の歴史を顧みるに。
一人のセルビア人が、突如オーストリア皇太子を襲撃したことが、あの全世界を揺るがす第一次世界大戦に発展したことを考えると、戦争は、いつ・どんな状況で起きるか分からない。

その反省に立ち、世界の主たる国には「パリ不戦条約」というものがあり、
1928年に米・英・独・仏・伊・日など15ケ国が署名し、その後、ソ連など63ケ国が署名している。そしてこれは現在でも国際法として有効なのである。

それにも拘わらず、第二次世界大戦は起こり、その後数えきれない程の国際紛争が起きている。

戦争が起きる場合は、どの国も、それなりの理屈は付けるものだ。
「我が国はこれより他国を侵略する!」と宣言して侵略するものではない。

軍事バランスが崩れ、力の空白が生まれると、領海線上にある資源や、小さな島の領有を巡って、些細な紛争が起き、お互いに相手の非を唱えながら戦火を交え、これが全面戦争に発展することもあるだろう。

近隣諸国の中には、核開発に邁進する反日国家もあり、生物兵器、化学兵器の保有も確実視されている。この状態で何らの対抗策も備えなくて済むというのは、あまりに楽観的に過ぎる。

平和憲法を持つ事は、確かに日本の平和に大いに貢献して来た。
しかし、単に憲法のみに頼るのでは、今後の国家の安全は極めて危ういと思わざるを得ない。平和や友愛を語る前提として国防に関する十分な備えが無ければならないと思う。
 
                                             
2.日本単独での防衛は現実的でない。
日本の防衛の現状は、兵力24万人(陸上自衛隊15万、海上自衛隊4.5万、航空自衛隊4.5万)だ。

2019年度防衛予算は、5.26兆円で、GDP1%を今でも強く意識している。

先進諸国における適正な兵力規模の目安は、人口の1%と言われているが、我が国はその2割しか充足していない。

我が国が、独自に国を守るとすれば、兵力を人口の1%(120万人)に増やすとして自衛官の平均年収を640万円とすれば、人件費だけで7.7兆円を要する事となる。

更に日本を自前で防衛するには、新たに大規模な軍備増強が必要となるわけで、現在の税収62.5兆円、歳出97.7兆円、長期債務残高1,107兆円からみて、この国防費負担が現実的でないのは、誰の目にも明らかであろう。

そもそも少子化の進む現状では、自衛官募集もなかなか進まない状況にあり、もし人口の1%の兵力を確保しようとすれば、それこそ最も忌むべき「徴兵制」でも敷く以外になくなるだろう。

現状、自衛隊の装備は専守防衛に徹するため、もっぱら「盾の役割」のみに特化したいびつで脆弱な状況にある。

もし独自防衛に切り替える為の急激な軍備増強に走った場合、米国とは深刻な緊張状態に陥るし、中国・韓国・北朝鮮の反発は勿論、国際的にも警戒されるだろう。

故に、我が国にとっての単独防衛は人員確保面、経費負担面、その他あらゆる観点から無理であり、他国との同盟関係による国防体制を構築する以外にないのである。
 
                                                  
3.日本は同盟関係の相手をどの国に求めるべきか?
日本単独での防衛は無理であり、他国との同盟が必要ということを先に述べた。
では。その相手をどの国に求めるべきであろうか。

他国と同盟関係を結ぶ場合、その相手国は、有事の際に「日本を守ろうと言う意思」があり、且つ「守るだけの戦力」を有する事が必須条件となる。

戦力は、単に軍事費の多寡で計り得るものではないが、一つの目安として比較してみると。(2017年、単位:兆円、1ドル=110円)
米国=67.1、中国=25.1、サイジアラビア=7.6、ロシア=7.3、インド=7.0
フランス=6.3、イギリス=5.2、日本=5.0、ドイツ=4.8、韓国=4.3

軍事費の額を見る限りでは、抜きん出て大国と言えるのは第1に米国、第2に中国ということになる。

近年、中国の軍事力の増強や、相対的な米国の衰退が取りざたされている。しかしながら軍事費の額を見る限り、今もなお米国と中国の間にはこれだけ圧倒的な差がある。

中国の場合、装備購入費や研究開発費などが、公表国防費に含まれないともいわれているが、この圧倒的な差が、さほど縮まるものではない。
  
中国は、国防費において著しい伸びを示し、空母キラーと呼ばれる対艦弾道ミサイルを始めとして、海軍、サイバー、宇宙空間、あらゆる面での戦力近代化を進めているが、その間に米国も着実に軍事力の強化を図っている。

特に、米国の場合は、訓練レベルでなく、実戦を通じて兵器の近代化と兵士の熟練度を増してきている。

米国は、世界の7つの海に11隻の空母を展開し、睨みを効かしている。
米国が、7つの海に戦力を分散している反面、中国は自国周辺に戦力を集中できるという利点はあるものの、中国が国産空母を建造し米国に対抗し得るだけの空母打撃群を実戦配備するのは、時間的にも経済的にも容易なことでは無い。

更に、日本と米国との間には、既に日米安保条約があり、50年以上の信頼の蓄積がある。

現状、自衛隊の装備は、「盾の役割」をする掃海能力、潜水艦戦闘能力、防空戦闘能力等に特化した結果、既に「鉾の役割」の在日米軍とのセットでなくては国防目的を達し得ないように設計されているのが実情である。

かつて民主党政権時には、あたかも米国とは距離を置き、むしろ中国と緊密な関係を持とうとの動きすら見られたが、中国が有事に際し、価値観や政治体制の異なる日本を守る気があるか、守る力があるか、甚だ疑問である。

中国には、国内に、政治と経済の体制矛盾、都市部と農村部の格差、台湾問題、50を超える少数民族の扱い、人権問題、共産党内の権力闘争等、デリケートな問題を抱えており、世界情勢が不安的となった動乱期には、自国の体制維持で手一杯ではないか。

中国は確かに大国である。日本は、中国と経済・文化・スポーツ等を通じて、平和友好裏に、親密な関係を築いていくべきだが、とても同盟関係を結んで庇護を頼む相手にはなり得ないだろう。
 
日本は、あくまでも価値観を同じくする米国との関係を基軸に置いて、近隣諸国とは友好・親密な関係を築いていくことが必要であろう。
  
                                                   
4.国際情勢の変化にどう対応すべきか。
日本の安全保障を考える場合、日米同盟を基軸とすべきことを縷々述べてきた。
では、日本と米国の関係を考えてみる。
日米安保条約については、かねてより片務的とする指摘があるが、これは必ずしも正しくない。
日米安保条約の第5条に米国の義務として「日本防衛」を規定し、第6条には日本の義務として「基地施設の提供」を規定している。
米国は日本の基地施設提供により、日本のみならずインド太平洋における米国の覇権を守るため、燃料の補給、弾薬の補給、通信傍受施設、母港の提供・・・等々、数々の便宜を享受しているのである。

日米安保条約締結以来、米国側から破棄の申し出がなく、今日に至っている理由はそこにある。日米安保条約は、これまで米国の国益にも適っていたのである。

しかしながら。世界情勢は常に動いている。米国にとっての国益の考え方にも変化があるだろう。歴史的に見て「永遠の同盟国も永遠の敵もいない」というのは、外交の鉄則である。

〝永久に米国と100%共にある″というのは、外交の世界では、考え難い。
今後数十年を考える場合には、世界情勢の変化、とりわけ米国の動向には、特段の注意を払っていく必要がある。

現在の日本を取り巻く安全保障上の重要問題は、短期的には北朝鮮の脅威であり、長期的には中国の脅威である。
第3回の米朝首脳会談を行ったとしても北朝鮮の非核化が順調に進むとは思えない。

ここから先は推測するほかないが。
・猜疑心が強く核だけが頼りの金正恩委員長
・南北宥和に前のめりの文在寅大統領。
・建国100年目には、世界の覇者となる構想を持ち、北朝鮮には今後も影響  
力を維持したい習近平国家主席
・安全保障をも経済的損得に換算する「米国ファースト」のトランプ大統領。

彼らのやることであれば。
・北の核は、ずるずる残る。
・どういう形にしろ、南北朝鮮の宥和は進む。
・いずれ在韓米軍撤退もありうる。(新アチソンラインの出現)

結局は、中国を後ろ盾とした〝核を残したままの反日統一朝鮮″が出来、日本の大きな脅威となる可能性は極めて大きいと思う。

在韓米軍撤退後、米国が日本防衛に腰が引けた状態になった場合、この日本をどのようにして守るか。
南シナ海や、台湾海峡を巡っては、米中の緊張関係が次第にエスカレートしてきつつある。
この危機的な状況を踏まえて、我が国としては、想定できる諸々の状況に対する準備が必要である。

事が起こってからでは遅い。
その時になって初めて、ヒステリックに「憲法改正だ!」「核武装だ!」と危険な風が吹かないように、現段階から〝タブー無き冷静な議論″をし、準備をしておかなければならない。

安全保障に関する私の考えは。
・〝平和国家″の看板は絶対に下ろしてはならない。
・必要な軍事力を備えた上での平和外交を率先して行う。
・必要な軍事力とは相手を上回る軍拡競争を意味しない。
・〝手を出せば火傷する″と思わせるだけの「抑止力」が必要である。

その為には。
外交面では。
・インド、オーストラリアとの連携を強化する。
・中国との人の往来を大幅に増やす。親日家を増やす。
・中国とのしっかりした政治的パイプを構築する。
・中国・韓国との歴史問題に関する摩擦の極小化に努める。

安全保障面では。
・憲法改正も含めて、隙間の無い法整備をする必要がある。
・日米安保条約を基軸とし、これを強化する。
・「日米地位協定」の見直しに努力する。
・鉾は全て米国、盾は日本という役割分担を見直す。
・第一義的な鉾の機能は、日本も保持する必要がある。
・将来の兵器の進化も見据えて、適正規模の軍事費計上が必要。
・兵器は、全て米国製という状態は好ましくない。
・兵器の内製化やEUとの共同開発等を推進すべきである。
・サイバー要員を強化し、世界水準に迄引き上げるべきである。
 (サイバーは、要員確保が容易で、安価、周辺国への刺激も少ない)
・最悪、北朝鮮次第では、ドイツ並みのNuclear Sharingが必要か

この21世紀には、先端技術、貿易、軍事・・・等々、米中の激しい覇権争いが長期間続くであろう。
今後の国会運営に於いては、国際政治力学の変化を敏感にとらえて、現実的な政策論議を期待したい。
平和はただ座して得られるものではなく、その時々の「外交&安全保障」の絶妙な舵取りがあってこその平和なのだと思う。
先ずは、米中貿易戦争の行方、6月のG20、8月の参議院選挙、来年1月の台湾総統選挙等々・・・、の動向から注意して見ていく必要がある。

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この記事へのコメント

2019年05月14日 11:29
こんにちは‼
日米安保、学生時代に大荒れしましたね。
おっしゃる通り永遠に同盟関係が続くことは無いでしょうが、どの国も一番は「国益」でしょうから、自分可愛いで外交は進むでしょうね。
何故、米国は日本が必要なのか、貴殿が仰る通りでしょう。
先ず、中国については色々な言語がある国は国を治めるにも大変でしょうし、北朝鮮と韓国は本質的に「同一民族」ですから統一問題は常に起こり得る問題でしょう。
「血」は「水」より濃いでしょう。
北朝鮮の存在は中国、ロシア共必至に守るでしょうし、韓国は米国が必至でしょうね。

もう亡くなったが米国の友人(軍属)が四十年ほど前に北を叩くと言っていたのを想い出します。

長々失礼しました。
2019年05月14日 17:05
60年安保は凄かったですねえ。
子供の頃に、樺美智子さんが、亡くなったのをニュースで見て衝撃でした。一部の特殊な人は別としても、皆が日本を戦争から守りたいというのは、共通している筈ですが、理想を追うか、現実を見るかによって、政治的な争いになります。
最近は、学生運動は、全く起きないですね。
日本の民主主義が成熟したのか、若者に覇気が無くなったのか、よく分かりませんけど。

ともくん
2019年06月04日 13:58
日本の安全保障についての、としさんの深い洞察、多くの点で賛同します。先ず、非武装中立は絶対にありえないと思います。国家形成の初期から今日まで、人類の歴史は戦争と無縁の時代は皆無であり、中立を宣言した国が蹂躙されたり、不可侵条約が勝手に破棄されたり、さらに最近では国際法に抵触する活動がまかり通ったりと不条理が繰り返されています。現在の世界も本質的にはマキャベリズムが謳歌された時代と本質的には変わっていないと思います。国家の醜い欲望の前に、正義も道徳もあまりにも無力であることが多いと考えます。フオークランド紛争への英国の武力介入、イラクのクエート侵攻、ロシアのクリミア併合等、正当化できる軍事行動でしょうか。日本の単独での防衛は現実的でない。これは至当です。戦争を抑止する究極的な力は核兵器のほかにはないと思います。核がある国には手が出せないのは、両者に甚大な打撃が予想されるからです。核を持たない日本は核を持つ国に依存するのは当然のことです。としさんの指摘のように、莫大な費用がかかる単独防衛は非現実的です。日本の同盟の相手国はどう考えても、米国しか思い当たりません。実績もさることながら、民主主義も定着していない、政治体制も違う中国との同盟論議は暴論の域に入るほどのものと思います。国際情勢にどう対応すべきかの論議は極めて重要と思われます。としさんが述べられているように、世界の情勢は常に動いており、米国の国益の考え方も変化があることは否めない現実です。世界、とりわけ米国の動向には絶えず最大限の注意を払うことは何より肝要と思われます。外交面でのインド、オーストラリアとの連携強化のとしさんの指摘は至言です。鋭い考察が秘められているように思いました。
2019年06月04日 20:16
コメントありがとうございました。
安全保障に関して、私の考えに賛同していただいたようで、嬉しい限りです。
政治的には、選挙の際の1票以外には何の影響力もない立場ですが、世界情勢を眺めていると、やはりいろいろ気になりますよね。
今は、米中の貿易戦争がだんだんと熾烈になってきていますが、アメリカも膨張を続ける中国に対して何も手を打っていなかったのが、大きな誤りだったと思います。
オバマの8年間が、なまぬるかったですよね。
これからの米中の覇権争いは、かなり長く続くと思いますが、その動向が非常に気になります。
自分自身のこともさることながら、子や孫の時代に戦争など絶対に起きて欲しくない。平穏な時代を子や孫の世代に引き継ぎたいと思うのは、我々世代みんなの願いではないでしょうか。そういう意味でも、なかなか目が離せない昨今の情勢ではあります。