憲法改正について

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憲法改正に関する記事です。
興味の無い方はスルーして下さいね。

憲法は国の基本。その最も重要な基本法規が、頻繁に変更されるのは好ましいものではない。
ましてや時の権力者の事情により恣意的に手を加えられることが、あってはならない。

しかし憲法もまた法。何十年も何百年も1ミリも変えてはならないというのも如何にも浮世離れした話だと思う。
憲法と言えども「不磨の大典」ではない。
この変動の激しい世の中に適合できなくなった場合は、勇気を持って、且つ慎重に、修正を加えていくことも大切な事だろう。

現在、安倍首相の下で憲法改正を目指そうとの動きがある。
憲法改正は、自民党結党以来の党是であり、衆参両院で安定的に多数を維持している今こそ、改正発議の絶好の機会と捉えての事だろうが、我々としては、その修正内容の是非、発議のタイミングにつき十分に注意をはらっておく必要がある。

現在、自民党「改憲4項目」と言われている条文素案には、①9条改正、②緊急事態条項、③参議院「合区」解消、④教育の充実、の4項目が挙げられているが、このうち特に安倍首相が、主眼としているのは、やはり9条改正であろう。
以下、安倍首相の構想にある9条改正について考えてみたい。

そもそも安倍首相の案は、9条1、2項を維持したまま、9条の2として「自衛隊」を明記しようというものであり、如何にも中途半端。如何にも政治的。如何にも妥協の産物、に過ぎないのではないか。

なるほど、法案も通せなければ意味がないことも確か。
2項削除は与党である公明党の理解が得られないという事情は分かるし、現実的であることも認めるが、諸々の抵抗を押し切って強引に法案を通過させたとしても、得るものに対し、失うものがあまりに大きいのではないか。

自衛隊を明記せずとも既に国民の間に自衛隊の存在は、必要なものとして認知されているし、自衛隊の名前を盛り込む事だけに政治的資源を消費することは、戦術上、得策と言えるだろうか。

憲法改正というのは、国会の3分の2以上で発議した後、国民投票の過半数を以てようやく実現できる仕組みになっている。
もし一度国民投票にかけ否決された場合は、それ以降10年や20年は、憲法改正を口に出来なくなるのではないか。

然るに。
現在、国民の間では、むしろ憲法改正には逡巡する空気が次第に広まっているように感じられる。それは、憲法改正が、〝戦前の軍国主義への回帰“という悪夢を連想させることと、〝忖度″の言葉に象徴される如く、国民の間に広がっている1強政治への不信が、大きな原因であると考えられる。

私が思うに。
昨今の客観情勢からみて、今回の自民党の改憲案が、国民の過半数の賛同を得るのは、至難のことのように思える。もし、それでもこの機会に、どうしても憲法改正を実現したいという事であれば、9条以外の項目で、与野党共に賛同できる項目に絞るべきだろう。

与野党が賛成し、国民にも十分な理解が出来る、そんな改正案を通して憲法改正が実現出来れば、「憲法も必要な場合は改正できるのだ」という認識を国民全体で共有する事になる。こうして改憲アレルギーを払拭するだけでも安倍首相としては、大きな得点ではないだろうか。

現在の日本国憲法は、日米安保条約とのセットで、我が国の平和に何十年も大きく寄与して来た。しかしながら平和を希求し、戦力を保持しないとしながらも自衛隊は厳然として存在している。自衛隊は諸外国から見れば戦力、これは明らかな矛盾であり、歴代の政府が、無理に無理を重ねた憲法解釈で乗り切ってきた状況は、不健全極まりないことである。

現在の世界情勢をみるに、猛烈な勢いで膨張を続ける中国、容易に非核化をしようとしない北朝鮮、米中の覇権争い、南シナ海、東シナ海の情勢等、考慮すれば、現在の日本国憲法には改正を加え、安全保障上隙間のない万全の法体系を早急に整備しておく事は、何より大切な事であろう。

但し、憲法改正で国論を二分することは、極力避ける必要がある。
まずは、主権者たる国民が、自ら「憲法は改正すべきだ」という必要性を感じ、与野党の十分な議論を通じて国民の理解が深まること。その後に初めて、手順を踏んで憲法改正が実現されるべきものと思う。

そしてその場合の法案は、9条に①平和を希求すること、②侵略戦争はしないこと、③自衛のための戦力は保持すること、この3点を堂々と盛り込んだ、矛盾のない法案でなければならない。

事態は、予想以上に切迫しており悠長に構えている余裕などないのかも知れない。
私が、危惧することは、台湾や尖閣で有事となり、尻に火が付いた時に初めて、急にヒステリックに「憲法改正だ!」「核武装だ!」という過激な風が吹き荒れはしないかという事である。

従って、そうならぬ今のうちから「憲法改正」についての〝冷静でタブーのない議論″を重ねていくべきだと思う。

与野党共に平和を願うことについての違いはないものと信じたい。
要は、理想を追求するか、現実を見るか、アプローチの違いなのだろう。

特に、改憲反対の野党の議員には、〝平和はただ座して得られるものではなく、その時々の「外交&安全保障」の絶妙な舵取りがあってこそ享受出来るもの″という認識のもとに、是非、現実的議論に加わる事をお願いしたい。

野党には野党の大切な役割がある。
「憲法改悪=戦争」というような短絡的な印象操作に明け暮れるのではなく、現実的な議論を通して権力側の行きすぎ、暴走を抑えてもらわねばならない。
そうした与野党の議論を通じて国民全体に憲法をどうすべきかの理解が深まることが、何より大切なことではないのか。

何ら影響力のない一市民の立場ではあるが。
一向に進展しない事態に、やや苛立たしい気持ちもありつつ、日々の動向を眺めている。

この記事へのコメント

2019年06月05日 08:18
憲法改正...
何をどのように変えようとしているのか。
まずはそれを見極めなければなりませんが
どれだけの国民がきちんと理解しているのか。
自省を込めてまずはそこから始めなければいけないような気がします。
理想としては軍隊など持たず平和を追求する国家であって欲しいと強く思います。。
でも現実的に世界を見渡して見れば理想だけでは
国の安全は守れないのでしょうね。。
核兵器禁止条約にも被爆国であるにも関わらず日本は参加していません。
何故核兵器などと言う恐ろしいものを国は人間は持とうとするのでしょうか。
世界中の人々が戦争などとは無縁に平和に暮らせるようにと願ってやみませんが、この願いは空論、夢のまた夢なのでしょうか。。
現実的にはとしさんのおっしゃるように一刻も早く
憲法改正をすべきか否か、するとすればどのような改正をするべきなのか。。
国民全体で現実的な議論をして行くべきなのでしょうね。
本当に難しい問題だなと思います。。
2019年06月05日 09:12
コメントありがとうございました。
Pekoちゃんのお気持ちは、よく理解できます。私も希望としては、全く同じ思いです。
世界中の国が軍隊など持たず、平和に暮らせたらどんなに良いでしょうか。
遠いとは思いますが、目指す目標は同じだと思います。
ただ同じ山に登るにしてもルートは、いくつもありますね。
要は、理想を追求するか、現実を見るかの違いだと思います。

やや極端な例をあげましょう。
「人命は何より尊い。拳銃は人を殺傷する道具である。人を殺傷する道具である拳銃を、国家の機関である警察が、日常的に携帯するのは、人命軽視である。絶対に認めてはならない。」これは、極めて平和的、人道的で理想的だとは思いますが、これを現実に適用した場合は、どうなるでしょう。悪漢達だけが拳銃を持ち、安心して町中を跋扈する世の中になってしまうでしょう。理想論と言っても、一部の宗教家を除いて、ここまで言う人はいないでしょうが。

政治の世界でも、理想と現実の間で、いろんな意見があって当然だと思います。
その意見を正面から議論しあって、国民の理解が深まることが大切だと思うのです。
私は、国が蹂躙されないように万全の備えをしたうえで、相手に武器を使わせない、わが国も使わない、という状況を作る必要があると思っています。
(これを抑止力と言い換えてもいいと思います)

与野党で現実的な議論をしたうえで、国民の理解を深める。
要は、「国民が理解したうえで、納得のできる改正案」でなくてはならないと思うわけです。
何の影響力もなく選挙の際の1票だけしか持ちませんが、一人ひとりが、自分なりの意見は持っておく必要があると思います。

2019年06月06日 05:09
 確かに憲法というのは一番基本の理念なのでしょうから、そうコロコロ変えてはいけないもの、と思いますね。

 いろいろ不都合な事態は起こるものですから、それに対応できるようにしておくことは大事ですが、多く国民が納得できるようなものになるよう、議論を盛んにするの必要ですよね。
2019年06月06日 08:58
国際政治の潮目が、変わった今日、自分で自分を縛って動きを封じ過ぎていては、自国の防衛はできないと思っています。
憲法を変えるにしてもその内容が問題です。
いろいろ国会で議論してもらって、我々も理解しなくちゃいけませんよね。野党には、行き過ぎがないか、暴走しないか監視してもらう必要があります。マスコミの影響も大きいですね。マスコミに踊らされず自分自身の考えを持ち、自分でで判断する。これが大事だと思っています。戦争を起こしてはならない。この点は動かせませんね。
2019年06月06日 13:40
昭和20年8月15日の終戦の日の日本人の心情は『これで戦争がやっと終わった!』と。
昭和21年11月3日に公布され、翌昭和22年5月3日に施行された日本国憲法条文を見た国民は『これでもう日本は戦争をしなくて済むんだ!』と。
終戦から74年経って、国民の平和への思いは当時と比べると格段に退化してしまっています。
だからこそ、今の憲法が必要なのではないでしょうか?
現状にそぐわない面が出ているから変える・・・というのではなく、今の憲法があるから、コレで済んでいる・・・と考えるべきではないでしょうか?
日本の政府と国民は、先の大戦を真摯に反省するとともに、もっと日本国憲法に誇りを持つべきだと・・・私は思います。
2019年06月06日 14:01
コメント有難うございます。私の周囲にも宮星さんと同じ考えの人は、たくさんいます。日本中皆が皆同じ意見ということは、ないでしょう。其々が自分の頭で考えて自分の意見を持つ事が大事だと思います。いずれにしろ戦争だけは、絶対に避けたいと思つています。