嘘つきアーニャの真っ赤な真実

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シニアカレッジの世界史の先生に勧められて読んだ本です。

著者の米原万里さんは、作家であり、ロシア語の同時通訳者です。
彼女は、9才~14才まで、父親の仕事の都合でチェコに住み、プラハのソビエト学校で学びました。

彼女が学んだ1960年~1964年の頃のソビエト学校には、50ケ国以上の子供達が、在籍していました。

本作はそのソビエト学校で仲の良かった3人、リッツァ、アーニャ、ヤスミンカとの思い出について書いた本です。

彼女が、1964年、日本に帰国して以降、友人3人の母国ギリシャ、ルーマニア、ユーゴスラビアは、激動の時代を迎えます。
彼女が、数十年後に会いにいった時、3人はそれぞれ母国の厳しい歴史に翻弄された深い精神的傷を負っていました。

世界史的観点からは、次のような事柄が、頻繁に登場します。
・プラハの春
・ソ連共産党、中国共産党、日本共産党の関係
・ビロード革命
・ルーマニアの民主化
・ユーゴスラビアの民族紛争
・西欧と東欧の歴史的確執
・カトリックと東方正教の関係

この本は、まさに20世紀後半の激動の東ヨーロッパ史を個人の視点で切り取った珠玉のノンフィクションと言えるでしょう。
著者の米原万里さんは、2002年本作で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しています。

文学としても世界史の学習としても、これほどの作品はなかなかないのではないでしょうか。

★★★★★(文句なしの星5つ。お勧めです!)

この記事へのコメント

2019年07月29日 00:24
こんばんは。

ロシアの本ですか。
知りませんでした。
読んでみたいです。
2019年07月29日 04:27
 真っ赤な嘘、というのはよく聞きますが、此処では真っ赤な真実なのですねえ。

 世界史の本もなかなか読む機会がないのですが、いろいろ面白く興味深いものもいろいろあることでしょう。
2019年07月29日 09:12
こんにちわ~
面白そうですね
図書館は近くにあるのですが
余り行きません
たまには行って見ようかな。と
思い始めました
2019年07月29日 09:35
この本読むと1900年代後半のヨーロッパの政治情勢が、よく分かります。
(ソ連、チェコ、ルーマニア、ユーゴスラビア等など・・・)
激動の時代だったんですね。つくづく日本は、平和でよかったなあと思います。

なおさんへ/としさん
2019年07月29日 09:35
普通は「真っ赤な嘘」でしょうけど、「真っ赤な真実」という題なんですよね。
この赤は、共産圏の赤を意味しているんじゃないかと思います。
1900年代後半は、東ヨロッパが激動の時代です。

共産主義という名前だけで、党の幹部は王侯貴族のような贅沢三昧の生活をしています。
その傍らで、屋根裏部屋で生活するお手伝いさんがいる。これが真っ赤な真実だったんですね。

このままで済む筈はなく、ルーマニアのチャウシェスク政権は、民衆の力によって倒されます。
しかし、これで貧富の差が無くなるかと思ったら、旧政権の幹部たちが、政権に居座って、次のチェウシャスクが誕生しただけでした。等々・・・。面白い本でした。
2019年07月29日 09:37
これから猛暑の日々が続きますから、図書館がお勧めです。
図書館は、入場無料だし、静かだし、冷房は聞いてるし。
学生たちの勉強の場、老人たちの昼寝の場に最適です。
涼しくて静かな環境で「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」を読むのは最高の時間となるでしょう。これ面白い本ですよ。

2019年07月29日 16:44
本の題名だけ見るとドキッとしますね。
東ヨーロッパの激動の歴史はニュースなどで見る程度でしたので、真実を知りたくなりましたよ。
米原万里さんは以前新聞でコラムを連載していたのを読んでファンになりました。
この本も手に取ってみたいです。
2019年07月29日 17:19
コメントありがとうございました。
米原万理さんは、10年以上前に亡くなられましたが、大変に知的な国際人でしたね。コラムの連載などで人気があったと思います。
彼女の通ったプラハのソビエト学校には、50ケ国以上の子供たちがいたというのですから、あらゆる言語、あらゆる考え方の子供たちと触れることによって、国際的感覚を育まれたのだろうと思います。
20世紀後半の東欧は、まさに激動の時代です。
この本を読めば、3人の友人のその後の生活を通じて、その様子が生々しく感じ取れます。お勧めの1冊です!