「朝鮮紀行(イザベラ・バード:講談社学術文庫)」

朝鮮紀行.jpg

妻が面白くて3度も読んだ本だというので、私も読んでみました。

この本は、19世紀イギイリスの紀行作家イザベラ・バードが、1894年1月から1897年3月にかけて、4度朝鮮へ渡った時の紀行文です。

紀行文ですから、朝鮮に渡った時の著者の印象を、風景、人々の性質、服装、制度、風習、等々・・詳細に記述しています。

著者が、見聞したこの時期は、朝鮮に取っては動乱の時期であり、東学党の乱、日清戦争、乙未事件における閔妃殺害、高宗のロシア公使館への避難、等々・・・いろんな事件が発生しています。

私は、先月読んだ「日韓併合への道」との関係から、特にその時期の朝鮮の政治情勢について興味を持って読んでみました。

印象に残った記述
朝鮮国内は官僚主義に色濃く染まり、官僚主義の悪弊が夥しくはびこっている。

政府の機構全体が、悪習そのもので腐敗の海、略奪の機関で、あらゆる勤勉の芽を摘んでしまう。職位や賞罰は商品のように売買されている。

現在朝鮮が国として存続するには、大なり小なり保護状態に置かれることが絶対的に必要であるのは明白であろう。

日本人が朝鮮の政治形態を日本のそれに同化させることを念頭に置いていたのは当然であり、それは咎められるべきことではない。

最も顕著な悪弊を改革する日本の努力は、いくぶん乱暴に行われはしたものの、真摯であったことは間違いない。

しかし日本の外交官のひとりが、自国の大義を測り知れなく損ねてしまった。
(乙未事件のこと)

国政改革14ケ条
・清からの独立
・王妃、王族の政治への干渉を排除する
・正しい税の徴収、等々・・・
これは、日本が主導して行わせようとした改革で、最良の改革案として高宗も乗り気だったにも拘わらず、高宗の意思が薄弱な為に頓挫してしまった。

権力者の人物像
大院君
鉄のはらわたと石の心」と例えられている。
精気、力強い眼光、
1866年、2千人のカトリック教徒を虐殺した
強欲で自らの息子も亡き者にした
時限爆弾で閔妃の母、弟、甥を殺害した
閔妃の命も狙っていた

閔妃
43歳の王より少し年上
聡明、冷たく鋭い、
美しく色白、優雅、魅力、知性と気迫
配慮のある優しさ
政府の要職を全て一族で独占していた
大院君と敵対して王室内部は分裂していた
呪術に傾倒していた

高宗
顔色悪く、落ち着きがない、凡庸
人が良く、優しい、温和
性格が弱く人の言いなり
気骨と目的意識に欠ける
記憶力が良い
外国人に対して敵意は持っていない

皇太子
肥満、強度の近視
閔妃が溺愛
身体障碍者と見られるため、側室の息子に王位継承権を奪われないか常に不安に思っている。閔妃が呪術に莫大な費用を費やした理由もそこにあるのではないか。

★★★★☆(4.2   学術的な価値が高い)

妻は、この本を3度読んだというが、主に風景、人々の性質、服装、風習などの記述に興味を持って読んだものらしい。
私は、もっぱら政治情勢、人物評価、歴史、に興味を持って読んでみた。
同じ本を読んでも、人の興味はいろいろ違うものだと、感じました。

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この記事へのコメント

2019年09月02日 09:32
こんにちは。

奥様、三回も読まれたんですか。
そんなに面白いんですね。
読んでみたいです。
2019年09月02日 09:39
こんにちわ~
3回も読まれたなんて。
感動されたんですね
私も時間があったら読んで
見たいです。
2019年09月02日 13:20
妻は3回読んだらしいんですけどね。
これは、好みの問題だと思いますよ。
私としては、つられて読んでみましたが、紀行文ですからね。
何かストーリーがあって、面白く展開する話でもないですし。
風景やら土地の風景やらを淡々と、非常に細かく記述しています。
私は、そういう意味では池波正太郎や東野圭吾の方が面白いと思いました。
ま、興味がある人には、たまらん面白さがあるという事かなあ・・・



2019年09月02日 13:28
妻は3回読んだらしいんですけどね。
興味があれば面白いけど、興味が無ければ退屈といった本です。
例えば。
朝鮮の女性は、30才でも50才に見えるし、40才になると殆ど歯がないとか。
朝鮮の女性は、家の奥に隠されていて、外出はしてはいけない。
もし男性に手を触られたりすれば、父が娘を、夫が妻を殺す。
朝鮮の馬は、とっても小さくて、西洋の子馬の鞍でも大きすぎて合わない。
朝鮮の馬は、気が荒くて、他の馬に合うと喧嘩をふっかけて大暴れする。
朝鮮の馬は、喧嘩して煩いので、夜は馬小屋の梁に吊るしている。
とか、結婚や葬式の風習とか、あれこれ、あれこれ、細か~く書いています。
面白いと言えば、池波正太郎の方が面白いです。
女性向きの本かも知れません。
2019年09月03日 08:47
奥さま三回も読まれたんですか
興味が湧いた本なんですね
読んでみたいです
2019年09月03日 09:42
これは、かなり有名な本ですね。読んだ人は多いと思います。
イザベラ・バードが、朝鮮に渡った時期は、ちょうど朝鮮半島の動乱の時期で、高宗の父である大院君と妃である閔妃が、激しい権力闘争をしていました。

そして両者は、朝鮮を取り囲む清・日本・ロシアの大国に挟まれて、あっちに付いたり、こっちについたり、非常に自主性に欠け一貫性のない外交をしていました。

権力の腐敗は、目を覆うばかり。どこか外国の保護下に入って、外からのイニシアチブが無ければ政治改革も出来ない、そんな状態でした。

そんな時代の庶民の暮らしや、風習はどんなものであったか、また権力者の素顔はどんなものであったか。そういう当時の状況を知るには、極めて大切な作品で、学術的価値は高い物だと思います。

この本を読んで面白いと思うか、退屈と思うか、それは読者次第。
私は、あまりに細かい描写が多いので、当初は少し退屈になりました。