「China 2049(マイケル・ピルズベリー著)」

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米中対立が、貿易だけでなく安全保障分野にも及ぶ中、中国が4年ぶりに「国防白書」を発表しました。

今回の「国防白書」では、ロシアとの安全保障協力に重点が置かれているようで、先日、日本海で中ロ合同軍事演習を実施したことなども、この方針に沿ったものと思われます。

演習中、こともあろうにロシア軍の早期警戒管制機が、島根県竹島領空を侵犯したという事実は、日米韓に亀裂の兆しが見える中、中国に協調してロシアが揺さぶりをかけたとみるべきでしょう。

習近平政権は、今世紀半ばまでに「世界一流の軍」を築くという目標を掲げています。

これらの動きを見るにつけ、中国の秘められた計画については、知っておくべきだと思い、この本を読みましたが、知れば知るほど、空恐ろしい気がします。

以下に、要点のみメモしておきます。

著書の骨子
中国には、かねてより次のような極秘計画があった。
「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」

100年の長期計画とは、途方もない長さのように考えがちだが、中国の歴史の中で14ある王朝のうち10までもが、アメリカの歴史全体より長く続いている訳で、所詮、中国とアメリカの時間の感覚は、かけ離れているのだ。

100年マラソン”は、孫子の兵法など戦国時代に用いられた戦略・戦術を基に、タカ派の軍人が構築している。

その計画に、ようやく気付き始めた米国は、その〝100年マラソン‴の敗者になろうとしている。


記憶をメモ
自由化が進み経済的に豊かになれば中国は民主化されるというのは誤りで、中国は米国のようになりたいとは、最初から思っていない。

中国の狙いは、米国に代わって中国1国が覇権を握る世界を作ることで、中国は国際ルールを守ろうという気は、最初から全くない。欧米流の国際ルールを作り替え、全て中国ルールに従わせるのが目標である。

中国のタカ派は、一部の跳ね返りと見るのは誤り。タカ派こそが主流であり、タカ派が、戦国時代の兵法に基づく戦略を基に100年計画を実行している。

中国は、調略・謀略が得意である。三国志を教訓に、ソ連を魏、米国を呉に見立てて、米国と組んでソ連に対抗しようという考えであったが、ソ連崩壊後は、米国を敵国と位置付けている。

中国は、これまで機が熟すまでは、野心を見せず、弱いと見せて米国から援助を引き出す方針でやってきている。それと気付かず米国は、全ての分野で中国を援助し国力強化に貢献した。中国は、大量の留学生を送り、米国から全ての分野の最新技術を盗んだ。

天安門」以降は、愛国教育と称して、米国を悪魔のように教えている。中国は、歴史を捻じ曲げて教育し、今や改竄した歴史が真実となっている。

天安門以降、鄧小平、江沢民を改革者とみて支援したのが大きな誤りであって、真の改革派だった趙紫陽、胡耀邦を見殺しにしてしまったのが悔やまれる。

中国は米国の弱点を研究し、サイバー、宇宙等、全ての軍事分野を強化したが、中国が注力するのは軍事だけでなく政治、経済、法律、全ての分野に及ぶ。

世界中の大学に設けた孔子学院は、情報操作やプロパガンダの道具である。

中国は、米国の敵である無法な国家を支援して米国の足を引っ張っている。

米国が率いるNATOに対抗すべくSCO(上海協力機構)を作った。

中国は、国連、WTOなど、これまでの国際機関の無力化を狙っている。

2050年には、中国の経済は米国の3倍となるだろう。

感想
この本は、有力な国防総省顧問で、かつて親中派だった人物の著書だけに非常に説得力に富むものでした。

彼はニクソンからオバマに至る政権下で対中国の防衛政策を担当したが、これまでの自らの中国に対する見方が、大きく誤っていたと気付き、この書を著している。

中国の高官の感触では、100年マラソンも予想より10年から20年前倒しでゴールに到達できそうだという見通しもあるようです。

確かにAIIBだの一帯一路構想だの、最近の中国は欧米流の国際ルールを根底から作り替える目論見が、段々と露骨になってきているようにも思えます。

米国と同盟を結ぶわが国も、「中国の100年計画」とその戦略をよく見定めて付き合う必要がありそうです。

もし興味あれば、是非読まれることをお勧めします。

★★★★★(星5つ。読んで気が付くことが多いと思います)






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