「貝と羊の中国人(加藤徹著:新潮新書)」

貝と羊の中国人.jpg

シニア・カレッジで、世界史の先生に勧められた本です。
中国の歴史や、中国人の特質などについて、非常に分かり易く書いた本です。
著者の専門は、「京劇」という中国の伝統演劇だそうです。
記憶に残った点だけ、つまみ食いしてメモしておきましょう。


中国人の先祖は、大昔に、東西の異質の種族の衝突から生まれた。
)3千年前の東方系の殷人は、貨幣として子安貝を使った。
西方系の周人は、遊牧民族と縁が深く羊を宝のように大切にした。

<殷周革命>
殷は、子安貝を求めて、東の沿海部の人方(じんぽう)という民族を攻略したが、その後方を西方系の周につかれて滅亡した。殷滅亡後の殷人は方々へ散らばって商人となった。

人は金銭を尊ぶが、人は義を尊び金銭を卑しいものとした。
周=封建制度=儒教思想=〝武士は食わねど高楊枝″

現代の中国人は、太古の二つの先祖から、ホンネとしての「貝の文化」と、タテマエとしての「羊の文化」の両方を受け継ぎ、使い分けている。
異質の二つの性向が、どちらも彼らの血肉となっている。ここに中国人の強みがある。

華僑の商才に象徴される中国人の現実主義は、「」であり、儒教や共産主義に象徴される熱烈なイデオロギー性は「」である。


<中国人のメンタリティー>
死は、睡眠、食事、排泄などと同じであり、特別なものと考えない。
病院の周囲には葬儀屋が多いが、中国人にとってはこれが自然で便利と考える。

中国は、死刑執行が非常に多い国である。
死刑になるほど悪いことをしたのだから、世の中にお返しをして当然だ。
・銃殺した死刑囚の家族に弾丸の請求書を送る。
・死刑囚の臓器を取り出して、臓器移植に使う。
・戦犯を一般戦没者と平等の死者として祀る感覚を異様と思う。

日本人の「お茶が入りました」という表現には違和感を覚えるらしい。
日本人は、相手に恩着せがましくないように柔らかく表現しているのだが、中国人には、これが理解できない。「お茶は自然に入らない」。
「貴方の為にお茶を入れて上げました」と言うべきだと思うらしい。

日本人は、食事をおごって貰ったら、次に会った時にはそのお礼を言うが、中国人はお礼はその時だけしか言わない。
次の時に礼を言うと、どうして過去の事を蒸し返すのか。「また奢って欲しいのか」と思う。

国土が広いからか、縄張り意識が薄く、個室を窮屈だと思うらしい。
・ニーハオトイレもその例である。
・家の前に自転車を置くと、捨ててあると思って持っていく。
・知的所有権についてもそう。
・日本人は「彼は嬉しいはずだ」と言うが、中国人は「彼は嬉しい」と言う。
(相手の内面まで踏み込む)

<中国内の地域差>
漢民族は、中国語を母語とし、漢民族の文化や価値観をもつ人々の集団である。
異民族でも漢民族の伝統文化を受け入れて同化すれば漢民族とみなされた。

同じ中国語を喋る漢民族も多種多様な遺伝集団の混合体である。
北と南の漢民族の遺伝的距離は、日本人と韓国人の遺伝的距離を遙かに凌ぐ。

・北は黄土の高原や平原が広がり湖沼が多い。
・北はコーリャンや麦の畑作、南は水田稲作に適す。
・北は騎馬や馬車、南は船(南船北馬)
・北は背が高く面長、南は背が低く丸顔。
・北の黄河は治水工事したが、南の長江は人力では無理だった。
・「貝の文化」と「羊の文化」が融合して黄河文明は強固になった。
・北は政治と軍事に優れ、南は文化と経済に優れる。
・北京を首都とした国は長持ちしたが、南京を首都とした国はすぐ滅亡した。
・身長や体格は北が立派で、食文化やファッションは南が勝る。
・北は愛国心が強く国防意識が高いが、南にいくほど愛国心が薄い。

★★★★☆(2006年の著書ですが、古さを感じさせません。)

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この記事へのコメント

2019年09月18日 10:02
こんにちは

面白そうな本ですね。
中国のことはもっと知ってみたいです。
2019年09月18日 18:41
こんばんは。ほんと、おもしろそうです。人種は黄色人種ですが、考え方はまるで理解できないですね。私も浅田次郎の蒼穹の昴や、パールバックの土を読んで
こういう考え~となんとなくわかりますが、理解しがたいところも多いです。

娘婿もよく出張で中国に行きますので沢山本で研究しているようです。
2019年09月18日 19:36

中国は、歴史が古いだけに、いろいろな話があって面白いです。
中国の時代劇ドラマなども観ていますけど、春秋・戦国時代のドラマが多くて、秦・楚・魏・燕・・等々の興亡の様子がとても興味深いです。中国と言っても種々雑多な種族が入れ混じっているわけで、それぞれ言葉も通じなかったでしょうし、文化・習俗全く違っていたと思います。この本を読んでそのへんの事情がよく分かりました。
2019年09月18日 19:48
この本は、変な題名なので、どうかなあ~と思ったのですが、面白かったです。
漢民族と言っても、漢民族の文化や習俗に馴染めば漢民族ということになるらしくて、同じ漢民族でも遺伝的に調べると、東と西では韓国人と日本人以上に違っているらしいです。
中国の時代劇ドラマを観ていても、奇妙な人名が沢山出て来ます。
あれはみな周辺の異民族だったのでしょうね。
戦っていても相互に言葉も通じなかったのでしょう。その点、島国の日本の戦国時代とは根本的に違いますよね。そもそも万里の長城を作ろうという発想からして、想像を絶しますね。
何千キロの長城を作っても、1ケ所10mでも破られれば、無用の長物と化すわけですから。
それでも作ろうという気になること自体が、日本人の感覚では測れないですね。
ま、兎に角中国はデカイし、深い。とても興味がわき、面白い国ではありますね。