メルヘンの話

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昨年、シニアカレッジの世界史の講座で「メルヘン」についての話を聞きました。
先週、NHKでも「グリム童話」を扱っていましたので、簡単にメモしてみます。

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総じて童話とは
歴史の闇が、隠されていて残虐で怖い話が多い。

グリム童話とは
創作童話でなく、昔話集である。

グリム兄弟とは
兄ヤーコブ、弟ヴィルへルム共に、ドイツの高名な言語学者である。

グリム童話を生んだ背景とは
1789年にフランス革命が起き、1804年には、ナポレオンが皇帝となった。

当時ドイツは、小国家に分裂しており、1806年にはナポレオンにより占領されてしまった。

ドイツでは、ナショナリズムが高揚し「ドイツの魂」を語り継ごうという気運が盛り上がった。

グリム童話の第1巻が、発刊された1812年は、ナポレオンが没落し始めた時期である。

初版と第2巻以降の違い
グリム童話集」の初版は、兄ヤーコブが中心となって聞き取った昔話のままを書いた。
この初版は、話の提供者から聞き取った内容を忠実に記したもので、残虐な表現や性的な表現が多く含まれていた。

第2巻以降は、弟ヴィルへルムが手を加え、子ども達に聞かせるのに相応しくない部分を手直ししている。言わば「語り伝えたメルヘン」から「読むメルヘン」へと改訂している。

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昔話の提供者
グリム兄弟は、「ドイツの魂」を語り継ぐべく、名もない庶民に伝わる民話を数多く集めるよう努めた。

昔話の提供者としては、お手伝いのマリー御婆さんや、フィーマンおばさんが、明らかにされている。

ところが、実際には。
マリー御婆さんは、お手伝いなどではなく、有力官僚の長女マリーであり、母はフランスから亡命して来たフランス人の子孫であった。
またフィーマンおばさんもフラン人の子孫であった。

つまり。
いずれも名もない庶民でなく高い教養、それも多分にフランス的な教養を身に着けた女性であった事が分かった。
但し民話・伝承は国境を越えて流布するものであり、これをもってグリム童話の民俗資料としての価値が損なわれるというものではない。

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ハーメルンの笛吹き男
話の筋
1284年、ドイツのハーメルンでネズミが大量発生した。そこへ縞模様のカラフルな服を来た男が、笛を吹きながら町へやって来て、お金をくれるならネズミを退治すると約束した。男が笛を吹くと、大量のネズミがゾロゾロついて行き、川に溺れて死んでしまった。
町の人々は、「お前は笛を吹いただけだ」と言って、金を払わなかった。
後日、また男が現れて笛を吹くと、町中の130人もの子供がついて行き、いなくなってしまった。

歴史的事実は?

当方移住説
12世紀に、子どもの数が急に増えた時期があった。子供には稼ぎがないため、養いきれない子供達を、移民請負人を通じて、密かに他の土地へ大量移住させたのではないか。

少年十字軍説
永遠の平和を求めて、聖地巡礼に行こうという集団妄想から、一斉に子供達がいなくなったのではないか。

他に戦死説、野獣に食われたという説、舞踏病説、ペスト説等々、諸説あり。
いずれにしても人口僅かに2千人の町から、130人もの子供たちが突然いなくなるというのは、歴史的大事件である。
年代、地名、人数が、極めて具体的であって、史実に基づいていることを物語っている。

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ヘンデルとグレーテル
話の筋
兄と妹は、森に迷い込んでお菓子の家を見つけた。お菓子の家には魔法使いの老婆が住んでおり、兄を食べようと檻に押し込め、妹に調理の準備をさせる。妹は火の起こし方を教えてくれと老婆に言って、老婆が竈で火を起こそうとした隙に、老婆を竈に押し込んで焼き殺してしまう。老婆の家から宝物を奪った兄と妹は、家に帰って豊かに暮らすことが出来た。

歴史的事実は?
森に迷い込むというのは、食い扶持を減らす為に、親が子供を森に捨てたのだろう。
この森は、〝姥捨ての森″で、老婆は捨てられていた老婆なのだろう。

シンデレラ
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フランスの「ペロー童話集」のシンデレラ
妖精が魔法を使って華やかな舞踏会に誘ってくれるという設定で、華やかな貴族社会の子弟に聞かせる話となっている。

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「グリム童話」のシンデレラ
・妖精に頼らず、父親からハシバミの若木のみを貰う。
・遺産相続争いで打ち勝つ
・強靭な肉体勝負で打ち勝つ。
・親が決める結婚でなく、自分の意思を通す。
小国に分裂したドイツを統一したいというナショナリズムの背景があって、シンデレラを逞しく、策略家として能動的に描いている。


ついでに思ったこと
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メルヘンや民話には、ほぼ似た内容の類話が、世界中に存在している。
例えば「赤ずきん」なら、オオカミの代わりがアフリカではハイエナやキツネ、東アジアでは大型ネコ科動物だったり、イランでは主人公が男の子だったりするらしい。

日本の「かちかち山」なども、グリム童話集の「コルベスさま」に酷似している。
これらは、何らかの方法で、地域から地域へ伝播していったものか、あるいは人間の考える事は、どこの国でも似通っているという証左なのか。

類話を集めて地域的な違いを比較したり、民話の生まれるに至った時代背景、伝播の経路、など研究すれば面白いように思う。
民話には、教訓とか、時代時代の何らかのメッセージが含まれるように思うし、「国際比較文化論」の一つの興味深いテーマのように思えるのだが。

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この記事へのコメント

2020年05月21日 11:58
おはようございます。
ブログへのコメントありがとうございました。
メルヘンや民話の世界も興味を持って調べれば面白いでしょうね。
2020年05月21日 12:11
こんにちは

本当は恐ろしいグリム童話って本、持ってます。
興味深く読みました。
けっこう奥が深いですね。
tamachanへ
2020年05月21日 12:17
民話の研究をすれば、面白いと思いますねえ。世界各地に殆ど同じ内容の民話が、いくつもあるんですよ。お国柄によって微妙に違うんですが、よく似てます。どうやって伝わったのか、あるいは偶然に同じ話が生まれたのか。不思議です。また民話が生まれるには、社会的な背景等も関係してそうです。
トトパパさんへ
2020年05月21日 12:23
「本当は怖いグリム童話」と言う本を、持っておられるんですか。映画も本も、お詳しいですね。ホントに童話は、その歴史的背景を探ると、怖い事実が隠れている場合が多く、怖いですね。怖い事があったから教訓として残したんでしょうか。奥深いですね。
2020年05月21日 16:44
こんにちは!
童話は史実に基づいた怖い話ということは聞いたことがあります。でも子供たちに夢を与えるように書き換えられたメルヘンのお話は良いですね。
民話を産んだ時代背景などを調べるのも興味深いでしょうね。
2020年05月21日 17:50
孫たちが小さかった時、メルヘンや昔話の本を、随分と読み聞かせしました。
聞きながら、いろいろ質問したりするのですが、読み終わる頃には、寝息を立てています。
夢のある話や奇想天外な話だと喜んで聞きました。
日本にも楽しい話、不思議な話、いろいろな昔話がありますね。
我々が、聞いていた昔話を、現代の子供たちは知っているのでしょうか。
浦島太郎、かちかち山、ももたろう、かぐや姫、金太郎、いろいろ伝えていきたいですね。
諸外国にもいろんな話が伝わっているようです。民話の研究はその国の文化や歴史を知ることですから、興味深い分野だろうと思います。
2020年05月22日 10:42
こんにちは。昔から怖いお話が多いでしたね。でもそれを少しも不思議だとは思いませんでした。大人になるとまた考えが変わったのか価値観が違うのか、なるほど、怖いとなりましたね。

日本の民話とは少しちがいますね。今はやはり「怖いこと」も教えなければ、世の中はきれいごとばかりではありませんので、おしえる先生もいると聞きます。

それは文部省の教える指針に反してではなく、余談でしか教えらません。
先生の余談もすごく子供のためになります。だから授業以外でそういう事を話せる先生はすごいと私はおもっています。

このような本は知らない人はきっと少なく、有名ですから何方でも考える機会もありますね。いいお話をありがとうございました。

2020年05月22日 22:09
確かに世の中は、きれいごとだけではありませんから、現実を教えることも必要でしょうね。
子供の頃にいろいろな先生に教えて頂きましたが、教科書の内容もさることながら、
本筋から離れた一見無駄話と思えるような余談から教わる事も多かったと思います。
昔は、個性的な先生も多く、先生の余談を好んで聞いていました。
昔話もよく考えてみると後世への教訓だったり、何らかメッセージ性のある話が多いように思います。
長い間、語り継がれたという事は、それなりに意味のある深い話が多いという事でしょうね。
2020年05月23日 23:30
こんばんは!
童話や昔話は結構怖い話が多いですね。
怖いだけでなく残酷なお話になると、子供たちに読ませていいものか悩んだと思います。
幸い、子供向けにはそのあたりは変えてありますね。
子供の頃、両親が読書好きになってほしいと本をたくさん買ってくれました。
その頃にワクワクしながら読んだお話が、大人になってから原書に近い本を読んであまりに残酷で驚いたことがありました。
例えば「千夜一夜物語」でした。
小さな子供に本を与える時、気を付けないといけませんね。
そう言えば、源氏物語の中でも光源氏が「幼い子には良い本を読ませなさい」と乳母に言ったシーンがありましたね。
親の気持ちはいつの時代も変わりません。

2020年05月24日 10:09
子供が小さい頃よく読んであげ
私も読みながら興味が湧きました
読みながら子供の時と感想が違い
子供は今何を思うか知りたかったですね
民話も面白く興味があります
2020年05月24日 10:37
源氏物語にそのような場面が、ありましたか。私は数十年前に村山リウさんの源氏物語を読んだのですが、詳細は、すっかり忘れました。とにかく登場人物が多かったのだけ覚えています。やはり子供の教育にとって、本が大切だったことは、平安の昔から同じだったのですね。
私の場合は、祖母が明治生まれの祖母が、いろいろと昔話をしてくれました。桃太郎の鬼退治、金太郎、いろいろ聞かせてくれました。子供の頃はチャンバラに夢中でしたから、「桃太郎と金太郎が戦ったら、どっちが強いの?」と無茶な質問をして祖母を困らせた事を覚えています。
大人になって考えると、「桃太郎の鬼とは何だったのだろう。」「鬼ヶ島とはどこだったのだろう」とか、何か政治的な事にまで発展して考えてしまいます。
昔話やメルヘンには、深~い歴史が付きまといますね。
2020年05月24日 10:45
私も孫娘二人が寝る際には、いつも童話の読み聞かせをしていました。
わざとふざけて読み間違い等すると、キャアキャア喜んでいました。
あの孫たちも、小さいころに聞いた童話を覚えているのでしょうか。
上の孫が、大学生で比較文化を専攻しているようなので、大人の目で童話を解釈する機会もあるのではないかと思います。
童話は、諸外国にも全く同じような話が伝わっていたり、どのように伝わって行ったのか、
興味があります。